クマムシ祭

クマムシである。昆虫ではなく、緩歩動物門の生物。
乾燥しても凍結しても、強い放射線でも死なないという最強の生物といわれているあのクマムシ
初めてその姿を本で見たときはその正体は知らなかった。30年以上前、何かの超常現象系の本で、火星探査機バイキングが停止する直前に送信した映像に奇怪な生物が写っていたという記事にその写真は載っていた。電子顕微鏡写真のように見えるその生物の正体はクマムシであると知ったのが、何によってであったかもう記憶にはない。

クマムシの性質も何で知ったのだったか。
鈴木忠さんの岩波科学ライブラリー「クマムシ?!小さな怪物」を読んだり、トリビアの泉のネタになった時にはもう知っていた気がする。
森山和道さんの鈴木忠さんへのインタビュー本も読んだ。

先日Twitterでフォローしている川端裕人さんが、ナショナルジオグラフィック日本版の連載記事で、クマムシの研究者である堀川大樹さんを紹介。
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/article/20111214/293677/
堀川さんをフォローしたところ、クマムシ祭りとして質問を受け付けるというので、
クマムシを観察したいのですが簡単な手順はありますか」
と質問したところ、
「路上に生える乾燥したコケを水の入ったシャーレに浸し、しばらくしてから顕微鏡で観察します。
詳しくはこちらをどうぞ→
http://d.hatena.ne.jp/horikawad/20110527/1306456375
と教えていただいた。

このサイトによると必要な道具は
1 封筒
2 ポーチ
3 シャープペンシルなどの筆記用具
4 薬さじ
5 洗浄瓶
6 ピンセット
7 スポイト
8 時計皿
9 ガラスシャーレ
10 実体顕微鏡
とのこと。
4 薬さじ、5 洗浄瓶、7 スポイト、8 時計皿 は持っていないが、最低限9 ガラスシャーレ、10 実体顕微鏡があればできそうである。

顕微鏡は下から照らして観察できるタイプがよいとのことだが、手持ちのはニコンのファーブル。これにLEDのフィルムビューアーを組み合わせて代用することにする。
鈴木さんのクマムシ本ではギンゴケに多いかもしれないと書いてあった。
近所でギンゴケを採ってくればよさそうである。
少し歩き回ると石垣の隙間にコケを発見。上記サイトで助手ガールが採集しているのと似た感じだがギンゴケではないようだ。
(追記:ハマキゴケのようである。)
それなりに厚みのある固まりになって生えていて、乾いている。とりあえずそれを採ってみることにした。


水につけて一晩置くということだったけれど、もちろん我慢しきれずに何度かのぞくことに。
数分後だと何も動いておらず砂粒や胞子みたいな固まりばかり。
数時間すると、伸び縮みして移動する生き物(ヒルガタワムシか?)や形を変えずに泳ぎ回るものが。でもクマムシらしいものはいない。
だいたい10時間ぐらい経過した頃、これで見つからなかったら寝て翌日見ようかとのぞいてみたら、大きな線虫みたいなのが何匹かいる。ふやけるのにかかる時間がものによって違うらしい。根気よく探してみると、いた!
とりあえずリコーCX4で撮っておく。
ニコンの顕微鏡ファーブルにはカメラを取り付けて撮影できるものもあるが、あいにく古いタイプなので、接眼レンズの目当てに押し付けて無理矢理撮影を敢行。

写真をアップロードできるように取り込むのが面倒なので、iPhoneでも撮っておく。

iPhoneの写真をトリミングしてTwitterで堀川さんに、クマムシかどうか聞いてみた。
チョウメイムシっぽいとのこと。一発目にしてビンゴであった。

一夜明けてまた観察。同じ個体ではないかも知れない。少し大きい気がする。
(追記:堀川さんに見ていただいたらお肉マムシ(なんという変換。面白いので残す)もといオニクマムシであるとのこと。)
iPhoneで撮影。

CX4で撮影。眼点も見える。

初心者がクマムシを観察しようとして見つけられるのは20%だそう。
かなり運に恵まれていたといえる。

こうしているとカメラを付けられる顕微鏡が欲しくなるが、アダプターもいれると10万円超えそう。悩ましい。